友禅の染画をご覧いただけることは大きな喜びです。友禅を自らの天職とし、長い間その道を歩んできました。しかし、白生地から着物へと続く全工程は楽しみと共に、体力を要する仕事であり、いずれは体力が続かなくなると感じていました。その時に向け、友禅で絵を描くという思いから染画へと進んでいきました。平面から立体感を感じていただける世界へ、いまだ試行錯誤の中です。 小学生の頃、家に帰ると振り返ることもなく油絵を描いていた母を見て、絶対に絵の世界には行かないという気持ちから自ら選んだ友禅。結局は遠回りしながら同じ道に向かっていたのですね。母はきっと笑っているだろうな……といつも思っています。