幻視―合歓の庭
合歓の木の不思議
庭にいつのまにか大きくなった二本のネムの木があります。ぼんやり見上げていると、細かな葉形の合間を漏れる陽射しや、小さなピンクの妖精かと思わせる花たちが、僕の記憶の底にしきりと語りかけて来ます。羽状の複葉を一枚一枚、筆先に神経を集中させて追いかけていると、レースの様な隙間の向こうに何かが開けてくるのを時々感じます。自粛という自らの行いを慎まざるを得ない今、「合う―歓ぶ」の名にふさわしい肯定感がこの木を通して僕に伝わり僕の創作をこっそり後押ししてくれるようです。
2021年2月 小林裕児
1948年 東京生まれ
1974年 東京藝術大学大学院修了
1987年 春陽展賞受賞 この年よりギャラリー椿、山の上
ギャラリーの個展を中心に全国各地のギャラリー、
なんば高島屋、三越本店等の百貨店で個展を開催
すると共に様々なグループ展に参加
1994年 HOPPER HOUSE(アメリカ)個展
1996年 第39回安井賞受賞
2007年 北京ビエンナーレ(2013・2015・2017・2019年)
2014年 ポーランド国立Lodz美術大学個展
2015年 ピョンチャンビエンナーレ、多摩美術大学教授退任展
2017年 蔵と現代美術展、(株)ヤマトギャラリーホール個展
2019年 渋川市美術館個展
❖ 1999年からはライブペインティングを中心に様々な音楽家、
舞踏家、演劇人とのコラボレーションを展開中
❖一般社団法人春陽会会員、日本美術家連盟委員
【コレクション】
横浜美術館、新潟県立美術館、佐久市立近代美術館、黒部市美術館、
オペラシテイ美術館、渋川市美術館、北京ビエンナーレ組織委員会、
光州市美術館、宮崎県立美術館、多摩美術大学、青山学院女子短
期大学、明星大学、大田原市、あきる野市、社会福祉法人新生会、
株式会社ヤマト、山の上ギャラリー等
【ホームページ】 atelier.yuji-kobayashi.net/