今年の2月パラオ諸島を訪れる機会を得た。
無数に点在する島々を豊かな緑が覆い、変貌自在の海はこの世の楽園と思われた。
その島の1つペリリュー島は東西約10km南北約3kmの小さい島だ。この美しい島で昭和19年9月から2ヶ月間凄惨を極める攻防が繰り広げられた。ここは太平洋戦争の末期戦略上の拠点で、1万人の日本軍と4万人の米軍が激突し日本軍は玉砕して果てた。米軍も8千7百にのぼる死傷者を出した。当時の写真を見ると爆弾と砲火で緑は吹き飛び密林は肌をさらしている。木々の幹だけが電柱の様に点々と立っている。
現在は豊かな自然を取り戻しているが密林を少し入ると両翼端やエンジンが無い零戦が朽ちた姿を無惨にさらしている。つるが巻き、葉が覆い被さった機体はジュラルミンが腐食し穴があき白粉が噴出し斑点になっている。主翼下から出た2本の主輪軸のクロームメッキだけが異様に光って獣が牙を剥いた様だ。
終戦となってから71年の間この零戦は何を見、何を考えてきたのだろうか。
今も世界のあちこちで紛争が繰り返されている。同じ過ちを繰り返さないために過去を学ばなければならない。
暑いさなか恐縮ですが、ご高覧の上ご指導いただければ幸いです。
1942年 群馬県高崎市生まれ
1978年 創元会会員推挙
1989年 群馬県美術会会員推挙
1997年 第56回創元展安田火災美術財団奨励賞
2000年 中国戦跡取材(北京、ハルピン、重慶、南京)
〃 個展 -55年目の夏- NTTユーホール
2002年 フィリピン ルソン島戦跡取材
(マニラ、バギオ、ボルドッグ道、プログ山)
第53回群馬県展 会員賞
2003年 沖縄戦跡取材
2004年 沖縄戦跡取材、遺骨収集事業参加
2005年 〃 〃
〃 個展 -60年目の夏- ノイエス朝日
2008年 第67回創元展 会員賞
〃 個展 -63年目の夏- ノイエス朝日
2009年 個展(アートワーク展)高崎市庁舎展望ロビー
2010年 個展 -65年目の夏- ノイエス朝日
2011年 第62回群馬県展 群馬県教育文化事業団会長賞
2012年 特攻基地 鹿屋、知覧、指宿 戦跡取材
〃 個展 -67年目の夏- ノイエス朝日
2013年 厚生労働省 硫黄島遺骨帰還事業に参加
2014年 個展 -69年目の夏- ノイエス朝日
2016年 パラオ諸島慰霊、戦跡取材
(本島、ペリリュー島、アンガウル島等)
■現在
(社)創元会運営委員審査員
群馬県美術会常任理事
高崎市民展審査員
NHK 文化センター講師