会期 2012年3月17日(土)~25日(日) 10:00a.m.-5:00p.m.
私は、群馬県沼田市の養豚場に生まれ育ちました。身近な存在であり、生活の一部でもある豚をモチーフにして作品制作をしています。
豚は、さまざまな形で人間に見られる姿を持っています。傷つけ合ったり、慰め合ったり、人間の社会と共通点を持った光景が檻の中で見られます。子豚の肌の色は、人間の赤ん坊に似てとても暖かく柔らかく感じられます。
一方で、現代の日本においては、食肉の豚の生産工程を消費者は知る必要がなく見ることがありません。このような消費の現代では、生に対しての低い価値感覚が無意識に与えられています。成長の早さ、飼育の手軽さからもっとも身近で、人間にとって最高に効率のよい豚。これをひとつの例に、現代人の生への意識が希薄化されていることは否めません。命あるものを食べて生きているという事実を、現代に生きる私たちがどれほど意識できているのでしょうか。
私は、人間の姿や性格を豚に投影し、描出することで、生きることの欠点あるいは美点を探求しています。作品を通じて人間社会を映し出し、一方で、生きることや食べることの根源に迫りたいと思っています。
ノイエス朝日での「BORN TO LIVE」展と「LIVE TO FARROW」展では、“生”を軸としたテーマで、ドローイングと立体造形の作品を展開致します。昨年の災害によって気持ちが沈みがちな中、“生きる”ことの喜びと“いのちをいただく”ことの有り難みを今一度、見つめて感じてほしいと思います。
小野養豚ん
個展
2002 「毎毎」展/ モリスギャラリー 東京
2004 「un10」展/ フタバ画廊 東京
2009 「暖」展/ギャラリイK 東京
2010 「家畜図」展/ギャラリイK 東京
2011 「小野養豚ん」展/ギャラリーAPA 愛知
グループ展
2006 「P&E 2006」展/アートコートギャラリー 大阪
2007 「神戸ビエンナーレ アート・イン・コンテナ2007」/神戸メリケンパーク
兵庫
2009 「わっ」展/埼玉県立近代美術館
2010 「美術の中の動物たち」展 / 尼崎市総合文化センター 兵庫
2011 「ART SESSION TSUKUBA 2011展 磁場—地場」/つくば市平沢管衙遺跡 茨城
※展覧会開催に合わせて小野養豚んの作品を紹介する冊子を発行しました。開場にて販売しております。
『NEUES+ (ノイエスプルス) 小野養豚ん』 1260円(A4版20頁全カラー)
ISBN 978-4-901474-23-8 C0071