会期:2008年11月1日(土)~9日(日)
AM10:00~PM6:00(最終日はPM5:00まで)
会場:ノイエス朝日 スペース1・2
太古の響器(ひびき)
現代社会という名の超特急の乗り物に乗せられた我々は、目まぐるしく変化し続ける波の中で、人として大切な感知能力や喜びを分かち合える感性を希薄にしつつ、何処に向かっているのでしょうか。私は自作の創作楽器(水留音)の響きを聞く度に、私自身でもはっきりと説明する事は出来ないのですが、何かぼんやりした感じで古の記憶が蘇ってくるのを感じています。名のない領域に繋がる古の記憶とでもいいましょうか。
先人達は、母親の胎内に戻るかのようにかがり火を手に洞窟の奥へ奥へと入り込んで行きました。鍾乳石を打つ、たちまち洞窟の空間は響きに満ち名のない領域へと繋がるのです。この潜在する世界はイメージとなって広がり、先人達は浮かび上がる壁面の凹凸に心のあるがままを描きたい衝動に駆られたのでしょう。それは、喜びとも恐怖とも説明のつけようもない体の奥底から湧き上がってくる何かだったと思います。水留音の響きは、身体の細胞一個一個で受け止めてほしいと思っています。何故ならば細胞の中には遺伝子があり、その遺伝子の中には、生命誕生の時からの記憶がたっぷりと詰まっているのですから。
水留音の響きは、きっとあなたの遺伝子にも語りかけ、ゆったりと時間の流れていた頃の古の記憶を呼び覚ましてくれるはずです。
篠崎 孝司
11月3日(月・祝) 午後2時~ 展覧会会場にて
演奏者 篠崎孝司 Mori-shige(チェロ)
チケット 1,000円